皆様お疲れ様です。雨が続くとめっきりお客さんが来なくなりますね。ドクターサイクルでございます。
今回は先日ご依頼をいただいた重傷な自転車について。というかそんな重傷患車に対してわりとタイトなご予算の縛りがあった時のお話。
毎日お店で仕事をしておりますと店の前をそれなりに自転車が通り過ぎていきます。で、その中にわりと頻繁に盛大な異音を発しながら通り過ぎていく自転車がありました。
「ああ....なかなかの状態やなあ」と密に思ってました。通り過ぎる自転車の音を聞いてると故障カ所ってなんとなくはわかるもので、仮にその自転車をちゃんと修理するとなるとそこそこ費用もかかるでしょうし、「まあウチには縁はないかなあ」などと考えていたら、なんとその自転車が当店にピットイン。
コチラです。曰く「漕いでも動かなくなりました」との事。ええ、ええ、さもあるでしょう。
ためしにペダルを回してみるとホイールが回りません。全く動かないわけではないですが、ガリッ、ゴリリッ的な音を発して引っかかる感じです。やはり想像通り、間近で見てみてもなかなかの状態でした。
そしてここからいくつかのパターンをご提案。
自転車に限った話じゃないでしょうが修理ってやってみないとわからない事も多々ありまして、さらに色んな部品が連動しているので一カ所修理すると別の故障が浮き彫りになる事もあったりします。
ので「最低〇〇円、最悪〇〇円。これで最低限の乗れる状態でございます。で、他にもこことこことここが....」なんていうお話をします。
すると「修理はしたいけど〇〇円以上は出せません。」との明朗なご返答。
了解いたしました。とりあえず最低限は乗れる状態にはいたしますとお引き受けしました。
まずはホイールです。運が良ければハブ内部をグリスアップ+ベアリング等の交換でなんとかなりますが最悪の場合はホイールごとの交換です。ハブだけ交換もできますがシティサイクルの場合は工賃と新しいホイール代があまり変わりませんので...
で、ハブを開けてみますと....
わぁお。シャフトと玉押しがえぐれていますね。これではスムーズに回転するはずもございません。
意外と受け側はいけそうなのでホイール交換はせずに済みそうです。
せっかくなのでフリーの方も見ておきました。
と、いう感じで無事にホイールはスムーズな回転を取り戻しました。めでたしめでたし。で終わりたかったんですが、実はこの自転車、前のブレーキワイヤーが切れてるんです。
はい、ワタクシの見積もり時のミスですがホイール回りに気をとられていたのもありますがピットイン時、前カゴに荷物を満載されており気が付いてませんでした。
一通り見積もりが終わってお客様が荷物を運び始めると
「あれ?ワイヤー切れてますね。治すと〇〇円追加ですが...」
「じゃあ、治さなくていいです(キッパリ)」
......さてどうしましょう。このシチュエーションでの正しい対応というのはどういうものでしょうね。
- 何とかお客様に危険さを説いて料金を上乗せしていただく。
- ブレーキを直さないなら他の修理も出来ないと全ての作業をお断りする。
- お客様がいいと仰るので笑って見過ごす。
- サービスとして無料で治しておく。
- ゴミ箱から廃棄予定だったワイヤーを捜索して取り付けておく。
皆様ならどうされますかね?ちなみにワタクシは5番で対応いたしました。
商売上の利益、法律、道徳、倫理、コンプライアンス(って何?)、お店のマニュアル、はたまた己の正義感などなど。色んな基準がありますが何をもとにするかで正しい対応というのは変わってくるんでしょうね。
当店1人でやってますのでマニュアルなんてものはなく、絶対的なこだわりも特になし。お客様にお説教をするつもりもありません。これが正しいとかは思いませんがそこは自営業。己が納得できればそれで良し。
とりあえず仕事として引き受けた以上は危険な自転車を世に解き放つわけにもいきませんのでブレーキは効くようにいたしました。
そんなこんながありまして無事納車。後日ご来店されて「すごく快適に乗れるようになった」とお喜びいただけたので何よりでございました。
あと一応念のため書いておきますが、今回はタイトな縛りがあったとはいえ決して安くはないご予算をいただきましたので部品こそジャンク品ですが工賃はサービスさせていただきました。
いきなり「ワイヤー切れたから捨てるやつでいいし取り付けといて」とご来店いただいてもお断りしますので悪しからず。
ではまた次回に。
自転車修理・メンテナンス専門店
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